講堂に着くとクラスの列に並び、始業式が始まるまで揺花と春休みあったことを話したりしていた。

春休みあったこと、と言っても大半が塾の春期講習で、これといったこともないのだけれど。



でも。



(あ、そう言えば春休みと言えば…)



春休み唯一ちょっとインパクトのあった思い出がふと過る。



『君…いいね。』



という台詞と共に、キラキラの甘い笑顔の美少年。



(私!何思い出してるの!)



ふと気付いて恥ずかしくなり、思わず頭を振る。



「舞奈?」



揺花に呼び掛けられますます恥ずかしくなる。



「あ、ほら!式始まるよ!」



私は無意識に火照ってしまう顔を見られないように言った。