「良いですよ。何ですか?」



そう応えたのは、勿論岩瀬だ。



(…そりゃそうなるよね。私の担当だもん…)



一気に気持ちが冷える。



「えっと…これなんですけど…」

気乗りしないが仕方なく問題集を開く。



「単語は調べてあるんですね?」

「はい。」

「じゃあ和訳してみて下さい。」

「えっと、それが出来なくて…」

「何故ですか?」

「……」

この人はいつもこう。

岩瀬の宿題はいつも長文和訳で、授業は生徒が順番に宿題で訳してきた和訳を読み上げるというもの。

分からないと飛ばして次の人を当てる。

特に解説はない。

私は

「分からないから授業に出てるわけで、分かればこんなとこに毎日1時間も座ってない!」

と内心思っている。

なんでこんな教え方でベテランと言えるのか…