するとやにわに彼が今度は私に向き直る。

そして、



「君…いいね。」



と、輝くばかりの笑顔を見せる。



(えっ?)



その笑顔がとても可愛らしくて輝いて見えるので、思わず見惚れてしまう。

改めて見ると息を飲むような物凄い美少年…



それに…

(「いいね」って何?)



よく分からない。

けれど。

胸がドキンと鳴る。



「彼らのはオーストラリア訛りだね。

分かんなくてもしょうがないよ、日本の学校では聞き慣れないから。

それより…」



彼は私に何事か話しかけるけれど、私はその爽やかで甘い声に鼓膜を震わすので精一杯で、
その内容は頭が動かず、全然入ってこなくなった。

綺麗な指で柔らかな髪を掻き上げる美しい男の子は、まるで昔見た絵本の王子様を思わせる。

私はただただその様を夢でも見ているかのように見つめ、立ち竦んでいた。