鈍感なのか知らないけど、よくもまあ気付かないのね…
ジェンは満面の笑みで答える
「鍛錬終わって暇だったから手伝いに来た」
「え?っあ、ちょ!」
リンゴが沢山入っている籠をヒョイっとジェンが持っていく
「ほとんどのリンゴが高い位置にあるから、ステラじゃ取れないだろ?」
思わずその言葉にムッとする
私だって157㎝はあるよ!
「いたって平均的身長ですー」
憎たらしく言ったものの、ハハハッとジェンは笑った
「…!」
ヒカリが何か思いついたのか、口を開く
「お暇なジェンに全部任せてもいいわよね…?」
「え?」
ジェンがキョトンとしたアホ面になる
「だってリンゴが高い位置にあるんだもの。それにあたし達…まだやることがあるし」
だいたいヒカリが言いたいことがわかった
この地道な仕事を背の高いジェンに押し付けようとしているんだ
私はヒカリの手を取り、その場を走る
「お、おい!?ステラ、ヒカリ!」
「あとはよろしくねー!!!!」
後ろから嘆き声が聞こえたが、気にせず私達は笑いながら走った

