「あたしはステラのこと可愛いと思うけどね」
え!?
いつもトゲトゲしているヒカルが人を褒めるなんて…!
驚きのあまりに、籠の中に入っていたリンゴを何個か落としてしまった
「っ褒めたって何も出てこないよ!」
慌てて落ちたリンゴを拾い集める
「村の男にモテモテじゃないか。…ほら、噂すれば」
ヒカリの目線の方は向くと、僅か数メートル先に背丈の高い男が近寄ってくるのが見えた
族長の息子…ジェンが話しかけてくる
「やあステラ、ヒカリ」
「ジェン…」
正直、私はこの男はあまり好きではない
自分で言うのも何だが、好意を抱いてくれるのは嬉しいが自分を守ることにしか能のない村の男なんかに私が好意を持てるはずがなかった
「武士団の棟梁様が一体農園に何の御用?」
ヒカリはフンッと鼻を鳴らし、険悪な色を醸し出すものの、ジェンは何1つ気にしてもいなかった

