ヒカルは目を伏せる
「あたし達は外道に負けたんだよ…」
この世界には、魔物といくつかの部族が住んでいる
私達…コンル族は容姿が美しいため人売りに目をつけられ、男女関係なく絶滅寸前まで売り飛ばされた
当時の族長は自分達を守るために山奥に結界をはり、外の世界との繋がりを切ってひっそりと過ごした
その孫にあたるのが、今の私達だ
歴史の負い目から日が浅いため、傷は深く残り続けている
「それでも私は、自分を守るための村なんかにいたくない」
こんな不自由な檻の中なんて、嫌だよ
「てか、見た目が良いからって売られるのはおかしくない?他の民族にも美人な人は沢山いるでしょ」
何でコンル族だけそんな辛い思いしなくちゃいけなかったの
「あたしは他の民族を見たことがないからな…」
部族によって見た目がはっきり分かれるこの世界は一目でどこ出身かわかる
私達、コンル族は透き通るような白い肌に銀髪…黄色に輝く瞳
違いは性格と髪型、目付きと顔つきぐらいだ
見た目のせいで絶滅寸前まで追い詰められるなんて、あるのだろうか
何ともやりようのない気持ちに呆れる