「外の世界ってどんな所なんだろう」
木に実っているリンゴを優しく採り、片手に提げている木の皮で作られた籠の中に入れながら、毎日思っている疑問を口に出す
暇だから、というわけではない
その疑問が1番心を占めているからだ
言わないと気が済まない
「それ何回も聞いたよ」
ヒカルはそんな私を横目に、リンゴを採り続ける
「その返答何回も聞いた」
実は小さい頃、この疑問をヒカルだけではなく周りの大人達に投げかけた
しかし、危険な外の世界を知ろうとする私は異端者扱いされ、今ではヒカリ以外にこの疑問を言っていない
「少なくとも、村の方が安全だろうね」
「人売りの話なんてとっくの昔じゃない。今はもうそんな人いないかもよ?」
はぁ…とヒカリはため息をつき、私の方へ振り向いた
「あのね、歴史はずっと心の中に残り続けるんだよ、それが良いか悪いか関係なしで。それに…人間って簡単に変わらない」