休み時間、私は夏鈴に今までの一連の出来事を全て話していた。

途中までは静かに聞いていた夏鈴も、アイツの名前を出した途端、形相が変わった。


「ちょっ、今、なんて?」


「え……、だから、橘 一椛」


「はぁぁーーー!?!?」


夏鈴が、教室中に響くくらいの大声で叫んだ。

周囲の人が、何事かと私たちの方を見ている。


「夏鈴、声大きい……!!」


「だって、アンタ、橘 一椛っていったら……
ここに入学する前からファンクラブがあって、
女子にキャーキャー騒がれてて、
告白した女子はみんな泣いて帰ってくる、って伝説があるって噂の有名なやつだよ!?

そんなのが、ことりの命の恩人で、しかも足の手当もしてくれたって!?」