「きいて!」


件名にそれだけ打ち込んで、あたしはメールをとばした。
間もなく素早いタイミングで「はいはい、なぁに」と返信が飛んできた。

仕事中にこんな社内メールを打ってるあたしもあたしだけど。
素早いタイミングで返信してくるほうも…。
お互い、仕事してるのか(笑)





***





昼休みになり、あたしは速攻でデスクを離れ同期のあやこのところへ向かった。
あやこはあたしを見つけて「はやっ」と呟いて。
PCに視線を戻し、パタパタとキーボードをタイピングする。
あたしは待ちきれず「はやく、はやく」と隣でせかす。
「はいはい、もう少しだから」とあたしをなだめ、enterキーを押して立ち上がった。




今日はどうしても聞いてほしいことがあった。
…いや。
聞いてほしいというより、話したいというほうが正しいかもしれない。


本当はもっと早いうちに話をしたかった。
しかし、あやことは部署が違うため昼休みのタイミングが合わず今日になったのだ。


「休憩スペース?」

「外、行こう」


同じフロアにある休憩室に行けば、戻り時間なども気にしなくてすむが、誰に聞かれるかわからない。
そのためあたしは外に出ることを提案した。


近くのカフェでコーヒーとサンドイッチを購入し、隣のビルの広場へ向かう。
その途中であやこに「なにがあったの?」と訊かれたけど、あたしは首を振った。
歩きながらなんておさまらない。
ちゃんと、座って構えなければ。




広場にくると、そこは思ったより人で賑わっていた。


「賑わってるねー」


あたりを見ながらあやこがのんびりとした口調で話す。
あたしは空いているテーブルを見つけて、まっすぐ進む。
無事死守出来たところで、コーヒーを一口飲んだ。


「で、なに?」


あやこはサンドイッチを開けながら、そろそろ話せよと呆れ気味。


「きいて」


あたしはあやこを正面から見る。
吸った息を吐ききって話始めた。