月明かりがうっすらと道を照らす丑三つ時。 人気のない路地の奥から少女のか細い歌声が聴こえる。 「通りゃんせ 通りゃんせ ここはどこぞの 細道じゃ 天神様の 細道じゃ」 その声の主の少女は路地の奥、黒い着物に身を包み、真っ赤な目で、血に濡れた刀を携えてたった一人、佇んでいた。 少女の傍らには、"深紅の花"がいくつも咲いていた___