オレのライバルは、いつだって香黄だった。
大好きな紫海は香黄が大好きで。
だからいつも、彼女の一番になりたくて必死だった。
「えがじょうずなひとがすき!」
紫海がそう言うから、オレはいつも絵を描いて気を引きたくて。
だけど香黄には適わなかった。
美大まで行くほど、才能に溢れた人だった。
今思えば、香黄が描くから絵が好きだと言ったのかもしれない。
でもあの時のオレはとにかく紫海の気を惹きたくて、
“おおきくなったらオレがおよめさんにもらってあげるね!”
頼まれてもいないのに、刷り込むように何度も紫海に言ったんだ。
まだまだガキだったオレは“およめさんになって”なんて恥ずかしくて言えなくて。
いつも上からで、彼女の呆れた顔を今でも覚えてる。
それでも、一緒に居てくれる、そんな時間が大好きだった。
だけど、
いつしかオレのライバルは香黄ではなくなっていたんだ。
紫海は知らない男子と楽しそうに手を繋いで歩いていて。
見たことのない、オレ以外に向けた照れた笑顔が焼き付いて離れない。
あの時の焦燥感は今でも忘れはしない。
大好きな紫海は香黄が大好きで。
だからいつも、彼女の一番になりたくて必死だった。
「えがじょうずなひとがすき!」
紫海がそう言うから、オレはいつも絵を描いて気を引きたくて。
だけど香黄には適わなかった。
美大まで行くほど、才能に溢れた人だった。
今思えば、香黄が描くから絵が好きだと言ったのかもしれない。
でもあの時のオレはとにかく紫海の気を惹きたくて、
“おおきくなったらオレがおよめさんにもらってあげるね!”
頼まれてもいないのに、刷り込むように何度も紫海に言ったんだ。
まだまだガキだったオレは“およめさんになって”なんて恥ずかしくて言えなくて。
いつも上からで、彼女の呆れた顔を今でも覚えてる。
それでも、一緒に居てくれる、そんな時間が大好きだった。
だけど、
いつしかオレのライバルは香黄ではなくなっていたんだ。
紫海は知らない男子と楽しそうに手を繋いで歩いていて。
見たことのない、オレ以外に向けた照れた笑顔が焼き付いて離れない。
あの時の焦燥感は今でも忘れはしない。