作家たちの話

静かな夜、ある船が漁に出た。海は凪いでいた。

この日は大漁で、次々と魚が獲れる。
大漁だったので、不気味な声に気付けたのは少しだけだった。

「柄杓をくれ?変なことを言うやつだ……」

不思議に思いながらも柄杓を取ろうとした。
網子の一人がどうしたと聞いた。正直に柄杓をくれと言われたから渡そうとしたと答えた。

渡そうとしていたのは底が抜けていない柄杓だった。

網子は急いで止めさせた。そして柄杓を底を抜き、渡した。
何で底を抜いたのか聞くと、網子は船幽霊について教えた。

「それはあまりにも可哀想だ!」

そう言うと、自分の握り飯を海に投げ入れた。

戸惑っていた手は握り飯に殺到する。足りるか心配になり、水樽も投げ入れた。

すると、手たちは消えていった。

それからこの地域では、出来るだけ握り飯や水樽等を投げ入れるようになった。