作家たちの話

グループで初めてのライブ当日、優未子は二曲センターを務めることになった。
この日のために優未子は練習を続けてきた。絶対に成功させようと意気込んでいた。

小さなライブハウスでのライブだったが盛り上がった。優未子が練習を頑張る姿を見て、他のメンバーのやる気が引き出された。本番でも実力を発揮し、事務所の予想を上回るライブができた。

最初は寄せ集めのグループだと落ち込んでいたが、今では自分達のグループに誇りを持つようになった。

盛り上がったライブの後、優未子達はライブハウスを出る。後ろのメンバー達は、もしかしたら事務所を立てなおせるかもと話していた。

外で何人かのファンが待っているらしい。何故か嫌な予感がし、扉を開けたくなかった。しかし、恐れるなと言うあの子を思い出し、覚悟を決めて扉を開けた。


優未子が声をかける前に、一人の男が包丁を持って優未子に襲いかかる。

避けようとしたが深く腕を刺された。バランスを崩して壁に倒れかかる。
男はまた優未子を刺そうとする。

しかし……間一髪のところで防犯ブザーが鳴った。

男は一瞬手を止めた。その隙に逃げ出し、途中で警備員を見つけ男は捕まえられた。
防犯ブザーを鳴らしたのはすぐ後ろにいたメンバーだった。メンバーたちは優未子の怪我を心配して病院に来た。

ニュースでも騒ぎになったが、他のメンバーは優未子がマスコミに見つからないように配慮してくれた。見舞いには成美たちも来てくれた。

病院で優未子は自分の報道を見ていた。その次は、同い年の女子高生が行方不明になった事件だった。
テレビに映し出されたのは、あの油絵の横に立っている、あの時の女の子だった。黒い髪、同じ制服……

あの子は学校生活が上手くいっていなかった。仲がいい友達がいなくて、口下手なあの子は皆が嫌がる仕事を引き受けることで好かれようとした。しかしいじめっこに目をつけられ、嫌な仕事を押し付けられるようになった。
エスカレートして悪口や物を隠されるようになったが、自分が標的になりたくないからクラスメイトは誰も助けなかった。

優未子は病室を飛び出して外に出た。青い空を見上げた。

やっぱり、一人は寂しいよ。
人生何が起こるか分からない。今苦しくても次の日にいいことが起きるかもしれない。自分の行動で誰かの心を動かせるかもしれない。
そして、役に立つとかだけで判断しない友達とは、一度別れてもまた会える。

きっと、あなたも分かっているはず。

優未子は孤独から抜け出せたことに感謝した。そして、誰かが来ているかもしれない病室に戻った。