作家たちの話

ある日、顔を隠すためマスクをしながら街を歩いていた優未子は、ある人に話しかけられた。

「成美さん……?」

「ひさしぶりね」

一瞬嬉しいと思ったが、すぐに否定する。

「あなたもオフなんですか?」

「ええ、でも……何で敬語?」

「出来るだけ正体は隠したいんですよ」

本当はいつもの癖でつい敬語になっただけだ。

「そうね、大変なことになってしまうからね。新しい事務所にも慣れてきた?」

「はい……」

慣れてきたが、心に何かがつっかかっているような感覚だけはまだ慣れていない。
成美の話によると、綾乃は子供向け番組に出演いていて、美幸は人気があるバラエティ番組に出演が決定しているという。そして、成美はドラマの主役に抜擢された。

友人役の子と仲良くなって、良い演技が出来そうだと成美は笑う。
あれだけ一緒にいた仲間と離れても、人は普通に生きていける。一緒にいる人なんて同じである必要はないんだ。

きっと、私のことなんて忘れてしまうんだ。

そうだ、無意味なんだ。同じ人に囚われる必要はない。駄目になったら新しい人を探せばいいんだ。

そう思った時、ガラガラと何かが転がる音がした。危ないと思いその場から離れたが、成美は気付いていなかった。

成美は足を怪我した。ドラマにも出られないという。

私のせいなんじゃないかと優未子は思った。

それから元メンバーと偶然会った。二人にも不幸が襲った。
美幸は交通事故で全治四カ月、緑はネット上でデマが拡散され活動休止。

他のアイドルたちから呪われていると言われ、完全に孤立した。