作家たちの話

その後、あの子は浮上しなくなった。優未子はツイッターを見るたびモヤモヤした気持ちを抱えていた。


「事務所が倒産!?何でもっと早く言ってくれないのよ!?」

芹沢 深雪(せりざわ みゆき)の声が部屋に響く。
事務所が急に倒産することになり、移籍する事務所を選んでほしいと社長から伝言があった。

「ここ、深山さんが出身したんだ……」

深山 ふき、芸歴二十年の有名女優だ。成美は深山に憧れていた。

「指定のアパートなら家賃一部負担……いいかも!」

そう言った緑 綾乃(みどり あやの)は、家計に余裕が無かったが、絶対に売れると約束してアイドル活動を続けていた。
金銭の負担が少ないのは他のメンバーにとってもありがたかった。

「ちょっと待って!ここ一人しか受け入れられないって書いてあるじゃない!何でこんなのも混ぜるのよ……」

「ねえ、ここはどう?今私たちが住んでる所に近いよ」

優美子はいいなと思った事務所の紙を見せる。

「うーん微妙。気に入られている子とそうでない子の差が激しいって言うし……」

成美が納得していないようだ。
事務所はなかなか決まらず、とうとう口論にまで発展してしまった。

「憧れている人がいるって言う理由で事務所を決めないでよ!」

「どんな人が在籍しているかは大事でしょう!さっきから文句しか言ってないけどどこだったら満足なの!?」

「ハッキリ言って全員受け入れてくれるところは大差ない!あの事務所は論外だけど!」

「もーこのまま決まらなかったら私だけであそこに移籍しますよ!」

三十分以上口論は続き、深雪が成美と口を聞きたくないと言った。
結局事務所が決まらず、全員違う事務所に移籍することになった。

グループは解散、優美子は初めて一人で活動することになる。