作家たちの話

バイトが終わる十分前くらいに、その人は帰りました。失礼ですが安心してしまいました。

さあ、そろそろ終わりだというところで停電が起きました。真っ暗で人がいないコンビニって怖いですよね。

懐中電灯を必死に探し、点けました。

「あれ、野洲?」

野洲がいません。停電が起きたからドッキリでも仕掛けるつもりか?まさかこの停電もあいつの仕業じゃ……そう思い始めます。

レジのところにはいません。棚の方に隠れたか……アイスの冷凍庫の方に光を向けた時、照明が点きました。

「何だったんだ……?」

照明は点いたものの、得体の知れぬ恐怖が残ります。
ちょうど次の人が来たのでさっさと帰る準備を終わらせます。野洲はまだ見つかりません。

野洲の荷物はどうしようと思った時、よくないことを思いついてしまいます。

あいついないし、ケータイ見てもいいかな。

この前野洲と一緒に歩いていた可愛い女の子を思い浮かべました。前から、どうやってあんな子と仲良くなったんだよと思っていました。

電源を入れ、いっぱいになっているメールに目が行きました。見てみると、色々な女の子からメールが来ていました。

一通未読のメールがありました。
コンビニで待ってる。気付いてくれなかったら私から行くね。

あんなやつがなんでここまでモテるんだ?特別容姿がいいわけでもないし、収入だって多くない、性格が明るい所くらいしか取り柄が無い。

こんなにいっぱいいて顔と名前が一致するんだろうか?覚えていられるのか?
気にいらないので電源を切って元に戻します。

「ブレーカー上げたの野洲か?でもなんで帰って来ないんだよ」

野洲の荷物はコンビニに置いたままにして、その日は帰りました。

次の日、ちょうど起きた時に電話がかかってきました。バイト先からです。

「はいもしもし」

「もしもし、今日は来なくていい」

「はっえっ!?」

それだけ言われても訳がわかりません。でも、電話の向こうのバイトリーダーが疲れ切っているということは分かります。

電話を切ろうとしたバイトリーダーに問い詰め、やっと詳しいことを話してくれました。

「実は、野洲君の遺体がコンビニのゴミ箱で発見された。それで……棚のところに人差し指が置かれていた」

電話を切り、カーテンを思い切り開けた。ざまーみろ。あの子を傷つけるからだ。

ああいう奴は、人を傷つけても、あの中の誰かが死んでいても気付かないんだろうな。