……まあ。
もともと今日はクレープ奢るつもりでいたんだし、ちゃんと奢ってあげるけど。

そんな私の気を知らず、必死で私の機嫌を取ろうとする由羽はいい気味だと思う。

ちょっとにやにやしながら日誌の残りを埋めていた私は、……こんな私たちのやりとりを聞いてた人がいたなんて、思いもしてなかった。


「じゃあ、出してくるねー」

「うん。下駄箱で待ってるね」

「わかったー」
 
教室を出て職員室へと急ぐ。
あれから五分くらいで日誌を書き終えた。

涙目になり始めてた由羽が可哀想で、ちゃんと奢ってあげるよといったら現金なことにすぐに笑顔になった。

……まあ、
それが女子高生って生き物だけどね。
 
人気のない渡り廊下にさしかかると、向こうから誰か歩いてきた。

……宮下くん、だ。