(もーやだ!!なんで忘れ物しちゃったんだろ...早くとって早く帰ろ!)


「..................」


(だれか...いる?)


「なー、つまんねーんだけど!!」


放課後の静かな教室に響き渡る声。


「うるさい。文句言ってねーでさっさとおわらせよーぜ?」

(矢澤くんと...吉野くん...だっけ?)


「うーーーーーー。」


「ほら、手を動かして」


「だってさ!なんでさ!女子がさ!いない訳!?そりゃ皓暉がいてくれればそれでいーんだけどさ!それでも女子と一緒にしたいじゃん!」


「うるさいなー、だったら誰か誘えば?」


「例えば?」


「俺は別に...」


「あ!あの娘は?前に屋上でってゆー...」


「...千葉さん?」


(!?)


「そーそー、その娘!!その娘は?」


(私!?なんで!?!?!?)


「んー、じゃあ誘ってみるね」


「おう!何気にあの娘タイプだし~」


「は?」


「え?なんで怒り気味...?」


「あ...いや、なんでもない」


「なになに気になっちゃってんの?」


「別にそんなんじゃねーよ」


「ダメだぞー?浮気はーー。好きじゃないとはいえ仮にも彼女いるんだしー。」


(『彼女』......か。ほんとに好きじゃなかったんだ...)


「うるせー。俺的には出来るだけ早く別れたいし。」


「は!?何言ってんの!?!?あんな美人を!!!」


「美人とか関係ねーし。好きでもないのに付き合ってるなんて向こうが知ったら可哀想だろ?だから。」


「紳士ぶって~笑」


「うるせーな笑ほら、さっさと終わらせよーぜ?」


(出るに出れなくなっちゃった...)

ガタン...!

「ん?誰かいんの?」


(どーしよ...)


「ど、どーもー...」


「あ!嘉鈴ちゃん!ちょうど良かった!委員の仕事手伝ってもらえないかな?お友達も一人呼んでさ!」


(いきなり下の名前!?)


「いーけど...」


「やった!!じゃあ今日とは言わないから今度からお願いネ!!」


「わかった。」


「あ!俺飲み物買ってくるわ!」


(自由か!!)


吉野くんはピロティにある自販機へ走った


「あのー、ごめんね?いきなりこんなこと頼んじゃって...」


「大丈夫!!2人だけじゃ大変だろーし!」


「それでさ、こないだの続きなんだけど...相談乗ってくれる?」


「うん...」


「俺がまだ中3のときなんだけど...」