あの長い指先が私の身体中を撫でてた。
まるで、愛しいものを見る様な目で私のことを見てた。
「カナ、可愛いよ…」って、ウットリした眼差しで見つめてて……。



「今のが…夢……?」


やけにリアルな感じだった。
触られてる指の感触も、話しかけられた息の温度も感じたような気がする。

声がすぐ側で聞こえた。
胸がドンドン鳴って、煩くて仕様がないくらいに響いてた。



「うっそ……夢……」


こんな夢を見るなんて、私ってどうかしてるの?


だけど……


「なんかちょっとハッピーかも」


見たくても見れない夢を見たような。
しかも、まだ触られた感触が残ってる。


これが欲求不満だと笑われてもいいから、もう一度同じ夢が見たい。

同じ姿勢でさっきのシーンを思い出しながら目を閉じたら見れるかな。



(島店長さーん、来てぇーー)



興奮してたせいか、その後は残念ながら夢を見ることは出来なかった。
薄っすらと目を覚ますと既に朝が来てて、私は布団の中で丸くなったまま息を吐いた。


「残念。単なる妄想で終わったか…」


楽しみにし過ぎてたのかも。
だって、仕事が終われば彼に会いに行けるから。


昨日と同じように毛布をひっ被ってベッドを下りた。
今朝は少しあったかいな…と思い、雨なのかな…とカーテンを捲った。