島…君をレンタルしたいカナ

マコト君をビンタしたと話したら、島さんは大ウケだった。
私に話を聞いた時は、狂犬のように噛み付いてやれば良かったのに…と言ってたくせに。


「見たかったなぁ。カナがビンタしてるとこ」


クックッ…と笑いを堪えてるけど、どうにも可笑しくて仕方ないらしい。


「そう言えば、マコト君達、結婚するんだと言ってた」


笑ってばかりいる彼を驚かせるつもりで言った。
フォークとナイフを持ってる島さんの手が止まり、「本当に?」と聞き返す彼に「うん」と答えた。


「不思議に思ったの。私と付き合ってた頃よりも大人に見えるなぁ…て。きっと守るべき相手が出来てしっかりしなくちゃ…と思ったのかもね」


仕事を変わったばかりの私みたいに、やらなきゃ…と張り切ってるんだろう。


「そうか。ふぅん…」


島さんは黙ってお肉を食べ始める。
ホントに美味しい物を奢ってくれるとは思ってなかったから、慣れないレストランで食べる夕食は喉を通りにくい。



「食欲ない?」


聞いてくる彼にううん…と首を横に振る。その割りには進まないな…とお肉を指差す。


A5だか4だか知らないけど、上品な脂の乗ったお肉は蕩けるように柔らかくて甘い。

残すのなんて勿体ないと思うけど、少し胸がいっぱい過ぎる。



「……ねぇ、島さん…」