島…君をレンタルしたいカナ

「カエデ」と呼ばれたレジ店員はそれに気づかず、「マコトさん、あのね…」と説明を始めだした。

私から視線を逸らした彼は彼女の話を聞いて頷き、発注書の束を繰って調べる。

こっちは今直ぐにでもこの場所から立ち去りたくてイライラしてた。
二人の様子からして、彼が選んだのはこの人だ…と分かった。


それと同時に、あの時の悔しさとか歯痒さとか切なさが思い出されて、それを何とか顔に出ないように歯を食いしばった。



「……すみません。確かに発注が上がってます。こちらで写真集は引き取らせて頂きます」


顔を上げたマコト君はそう言って、わざわざご足労頂き有難うございました…と労った。


「いえ」と短く声を出し、ペコっと頭を下げて踵を返した。

走り抜けるように書店の外へ飛び出し、小春日和の中を突き進む。



今はもう怒ってもないし悔しくもない相手に会って、少しだけ気持ちが乱れてる。

だけど彼との別れがあったからこそ、私は島さんに出会い、付き合いだした。


島さんは付き合って間もない私とのことを真剣に考えてると言ってくれた。

だから、それを信じて彼について行けばいいんだ。


今更、元カレや別れた原因となった女子と対面したからって、こっちがビクついたりしなくてもいい。

自分には島さんがいると強く思えばいい。

彼に好かれていると信じればいいーーー。