夕方。

あれから数時間が経過した。

あの後帰ってきた亮ちゃんは私に大丈夫なのかとしつこく心配してきた。

どこかケガでもしたのかだの、体調が悪いのかだの。

大丈夫だと言えば、じゃあどうして先に帰ったのかって……

心配してくれたのは分かってるんだけど、正直
……うざい。

誰のせいで、散歩切り上げたと思ってんのよ。

いや、まて、もとわといえば私が注意も聞かず石の上を歩いたりしたからか。


……うん、忘れよう。

都合の悪いことは忘れるのか1番だ。



そんなことを考えながら、ふと、窓の外を見た。

キャンプ場に夕日がさしこみ、オレンジ色が周囲を支配していた。

コテージから見える草原が夕日で染まるのはとても綺麗で、目が離せなかった。


「きれいだね」


いつの間にかいた亮ちゃんが話しかけてきた。


「うん。 自然っていいね。
なんだか嫌だったこととか……ちっぽけなことだったのかもって思う」

「ちょっとまって」


なんだろうと思って横を見ると、頭を抱えた亮ちゃんがいた。


「どうしたの?」


「あのさ、美咲ちゃん、分かってると思うけど、いや、思いたいんだけど、あれはちっぽけなことじゃないからね」


最初はなんのことを言っているのか分からなかったが、すぐに思い出した。

「あーあのことね!
うん、もちろん分かってる。大丈夫」

「本当に分かってるのかなぁ
あのね、美咲ちゃん……」

「子供たちー!
ご飯の時間だよー!」


と、佳代さんからの召集がかかった。

「あ、ご飯だって!」


夕飯がBBQだと聞いていた私はご飯と聞いてうきうきで外に向かった。

そんな私にはもちろん、後ろでまたもや頭を抱え、ブツブツなにかを言っている亮ちゃんのことは目にも耳にも入らない。