ずっと気になっていたことを我慢しきれずに隣の幼なじみに聞く。


「ねぇ、突然なんだけど、亮くんなんでそんなにダサいかっこしてんの?
実はずっと気になってたんだよね」


突然の質問だったけど、亮くんはその質問は聞き慣れてるのかそんなに戸惑った様子は無かった。

むしろなんだか少し嬉しそうな顔だ。

申し訳ないけどちょっと不気味。


「美咲ちゃんにもそれ言われたよ。
なんでそんなかっこしてるんだって」


あぁその表情は姉ちゃん絡みだからか。

この人は姉が絡むと口角が緩むらしい。

どんだけ好きなんだよ。

普通にしてれば即くっつけたのに、なんでそんなかっこしてるんだか。

意味がわからない。


「美咲ちゃんにはね、今の俺を見て欲しいんだよ。
昔の思い出の中にある俺じゃなくてさ」


「今の亮くんを?」


意味がわからない。

亮くんは亮くんじゃん。

「ふーん……
で、見てくれたの?」

俺が聞くと、亮くんはうーんと唸った。

「微妙だなー
見てくれようとはしてるのかな」


亮くんの気持ちはバレバレで、あの自分の気持ちには鈍感な人もきっと分かっているんだろう。

それでもなかなかくっつかないのは、そのカッコのせいなんだろうな。

きっと素直になれてないんだろう。


「姉ちゃんは亮くんが帰ってくるまで馬鹿みたいに一途に想ってたよ。
嫌われるかもって思わなかったの?」


野暮だな、とも思ったが言ってしまった。


「そうかもって思ったけど、美咲ちゃんならそんなことないって思ったんだ。
美咲ちゃんは優しいから俺がどんなカッコしててもきっと、俺自身を見てくれるって思った。
だから、こんなカッコで戻ってきたんだよ」

ふーん。
信じているんだな、姉ちゃんのこと。

絶対的な信頼か。

うーん。
やっぱそれ、姉ちゃんが聞く前に聞いちゃっても良かったのかな?