数日後、亮ちゃんがうちを尋ねてきた。

なぜうちを知っていたかと言うともちろん佳代さんと一緒だったからだ。

「リョウ、“ミサちゃん”で合ってる?」

「うん、この子だよ」

「じゃ、ほらあれ渡しな」

「うん……」

なんだか2人でそんなことをこそこそと話して、私に向き合った亮ちゃんは私に1つの紙袋を渡した。


「これ、うけとってくれる?」

「え、うん」

急に渡され戸惑った。

袋を開けてみると、そこにはヘアゴムが入っていた。


お母さんがくれたのは蝶々の飾りがついていたけど、
亮ちゃんがくれたのは星と月の飾りが付いているかわいいヘアゴムだった。


亮ちゃんは私がそれを気にいるかどうかを気にしてオロオロしながら様子を伺っていた。


「……ありがとう!
大事にするね」

と、私が言うと、私の言葉をきいて亮ちゃんはやっと笑顔になった。


「うん!」


そして、急に引き締まった表情をしたかと思ったら、


「ボク、キミをまもれるくらいツヨクなるから。
だから、ボクとトモダチになってください!」

そういった。

たぶん私はこの時に亮ちゃんのことが好きになったのかもしれない。


断る理由なんてない。
だから、私はとびっきりの笑顔で答えた。


「もちろん!」

って。


そうして私達は仲良くなり、よく遊ぶようになった。


もちろん亮ちゃんがくれた月と星のヘアゴムと一緒に。