「美咲ちゃん久しぶり。

朝はごめんね、嬉しすぎちゃって」




ぴしっと自分の体が一瞬固まったのが分かった。



“美咲ちゃん”そう呼ぶ声は私の知ってる“亮ちゃん”の声よりも低くて、でも呼ぶ声の優しさはあの頃のような優しさに包まれていた。




やっぱりこの人が“亮ちゃん”なの……?


いや!絶対認めない!


「ん?

高橋くん、酒井さんと知り合い?」




“亮ちゃんだと現実が言ってる”人が私に話しかけたのを見て先生が聞いてきた。


「幼なじみです」



やめてその顔で笑うとニヤッて笑ってるように見えるから。




笑い方など気にせずに、それを聞いて先生は嬉しそうな顔つきになった。




「そっか。じゃあ高橋くんの校内案内は酒井さんに任せた!


高橋くんも先生より幼なじみの酒井さんにしてもらった方がいいと思うし」



先生、先生がやりたくないだけでしょ!



私は見逃さずに見てたよ、先生の幼なじみって聞いた時の嬉しそうな顔!



それを聞いた“亮と言う私の幼なじみらしき”人が嬉しそうに答える。



「はい、そうしてもらえると嬉しいです」


なんて。



あんたも勝手にOKしないでよ!!


さっきまでくっらーく「これからよろしく」しか言ってなかったくせに。


やだ、なにそのちょっと嬉しそうな顔!


すこし、いやだいぶ気持ち悪い。