眠りから体が浮上していく感覚がして、瞼をゆっくりと開いた。

まだ頭はカスミがかっていて、はっきりと状況が分からない。

あれ、私なんでここにいるんだろ。

状況をまだ理解できない頭のまま、視界の隅で人影が動いた。

「美咲! 目が覚めたのね!」

目線を向けると、安堵と心配が入り混じった顔をしたお母さんがそばにいた。

話しかけれられるも頭が回り切っていないのか、上手く話すことができない。

「あ……なんで私……」


「登山の途中で事故にあって、救急車で病院に運ばれたの。

目が覚めてとりあえず安心した……。

今、看護師さん呼ぶからね」


娘が目を覚ましました、とナースコールに対して報告しているのか、私の頭の上に近づいて話している。

「わかりました。伺います」

機械から発せられた声がしてすぐに扉のノックオンが聞こえた。