「……今はってことは、好きだったことがあるんだ」

桐島君は、俺の反応を楽しむようにこちらを見てくる。

まったく、不愉快だ。

「ごめんって。
そんなに怒んないでよ、昔の話だよ。

たしか、小3で初めて同じクラスになってから、小学校卒業するまでくらいは好きだった気がする。
ところどころで好きな子は変わってるけどね」


意外と長いことに衝撃を受けた。

「だから高橋のことも覚えたんだよ。
あ、今はもちろん好きじゃないよ~」

今、例え美咲のこと好きでも、絶対負けないけどな。

それにしても、なるほど、俺のことを覚えているのに納得した。

好きな子の人間関係は、強く記憶に残るものだよな。

からかうような表情を若干引き締め、桐島君はつづける。


「てかさ、高橋って、なんかもっとキラキラ少年じゃなかったっけ?

言っていいのか分かんなけど、正直結構ダサいよね、その恰好。
なにがあってこんな風になったわけ?」


結構正直に言うタイプの人間らしい。

わざとではない人だったらどうするつもりだ。