登山の日、朝のバスで美咲の隣を確保して座っていると、「隣良い?」となぜか話しかけてきた男子がいた。

特に断る理由もないから承諾した。

おそらく桐島という名前の男子を窓側に座らせるために立ち上がる。

「わざわざ立ってもらっちゃってごめんね。
俺、窓側がいいんだけど来るの遅くて全部埋まっちゃっててさ~」


「別にいいよ」

別に美咲の隣なら、誰が隣に座っても問題ない。てか、興味ない。

美咲のことを怪しまれない程度に見ていると、
「高橋亮ってさ、○○小通ってたよね?」となぜかフルネームで話しかけたれた。

「うん、そうだけど……。
桐島君……だよね? 何で知ってるの?」

名前あってるよと言いながら、桐島は笑顔になり続ける。