美咲は小さい頃から強くて優しい子だった。

俺にとって助けてもらったあの日から美咲はヒーローで、一緒にいるだけで安心できた。

でも、強くても傷つかないわけじゃないって、あの泥まみれのヘアゴムを見つめる君を見て僕は知っていた。

自分が傷つくかもしれないんだから大人しくしていればいいのに、美咲はあんな性格だから自ら危険に飛び込んでいく。

まあ、そのおかげで俺たちは出会えたわけだし、そんなところが好きなんだけど……。

そんなところに憧れがあって、自分を傷つけてしまうその性格が俺には怖かった。

その性格がいつか取り返しのつかないくらい君を傷つけてしまうのではないかって。

だから君がいざというときに守れるようになりたいって思った。

ヒーローを守れるヒーローに。

そんな時、転校話を両親から聞いた。

君と離れるのは嫌だったし、君のことが心配だったけどチャンスだと思った。

あの時の俺は君とって守る対象であって、俺はそれが情けなくて悔しかった。

だから、数年後戻ってくるときに俺は君を守ろうって決めていた。

それまでは会わない。

次に会った時に、美咲の理想を超えてやるって。

転向後、体を鍛えるために小学校では空手教室に行った。

脚力を鍛えようと中学ではバスケ部に入った。

中学に入るとなぜか女子からモテだした。