始業式が終わり教室に戻ってきた。


新担任での初のLHRまではまだ少し時間がある。


新学期早々遅刻した私は周りが初日で新クラスとなり浮き足立っているのに反して、沈んだ気持ちでいた。




それは朝のあの事件でもあるが、それよりも今こうなっているのは、目の前にいる女子のおかげだ。




「勇気あるねぇ、新学期の初日から遅刻するなんて。

せっかく今年も同じクラスになれて?
しかも?
前後の席になれたってのに?

後ろにいる友達、いや親友の存在にも気づかないなんて。

もはや尊敬に値するね。

そんなに夢中になるほど何を考えていたんだか」




目の前で呆れ顔のお面をかぶって心の中では絶対に笑っているこの女子は、去年から仲のいい友達の紗綾(サアヤ)だ。




苗字の頭文字が同じで前後の番号だから、席も前後。



去年も今年も前後になれるとは我ながらなかなか運がいい。