き……きついんだけど!

目的の山に着いて、登山開始から40分ほどの時間が経過した。

最初は気が進まないまでも、紗綾と楽しく歩いていたが登るにつれて急な坂道や、倒れた木を跨いで歩いたりとなかなかキツい道が続いている。

はぁはぁ言いながら登っていると先に道が見えなくなった。

なに事だと思ったら今登っているはずなのに何故か下り坂になった。

1度、この坂道で呼吸を整える。


「はぁ、ちょっ…と、キツ過ぎない……?」


私は疲労困憊の状態で、隣を歩く紗綾に話しかけた。

坂道がキツくなってくると紗綾は話しかけて応援してくれるが、私はそんな余裕となく、「うん」くらいしか返事が出来なくなっていた。


「うん、なかなかきついね」


さすが紗綾、キツいと言いながらも息はあがってない。

汗はかいているようだから、紗綾の体はちゃんと運動をしているという自覚はあるらしい。

息があがってないから本当にキツいと思っているのが疑問だったが、どうやらちゃんと思っているらしい。


「先輩がキツいって言ってたんだけど、ちょっと大袈裟に言ってるのかなって思ってたから、まさか本当にこんなキツいとは……」


少し苦しそうな顔で紗綾が言った。