あの下校中の一件以来、亮ちゃんはできる限り私と一緒に登下校するようになった。

最初の頃は別に大丈夫なのにとか言っていたけど、一緒に登下校できるのを少しだけ嬉しく思っているのは内緒の話だ。

うん、本当に少しだけね。

でも私が寝坊する日もあるわけで、そのせいで走らせたりさせてしまった時は本当に申し訳ない。

そんな日は寝坊したって連絡するから先に行ってもいいのにと言っても、大丈夫と言われた。

さらに、

「俺が待ってるって分かってたら寝坊する回数、減るでしょ?
実際、遅刻ギリギリの日が減ってるみたいだし」

と自信満々に言われた。

確かに一緒に行くようになってから寝坊回数は減っている。

でもなんだかそれを素直に認めるのは気にくわなくて、

「別にそんなことない」

なんてつい思ってないことを言ってしまう。

素直になれない自分が歯がゆい。