朝食を終えて、ちょっと急ぎ気味に歯磨き等諸々して、準備を終え、ため息を吐きながら家を出た。

少し急ぎ気味でいるのには理由がある。

マンションの玄関ロビーに降りると今日も1人の男子が立っていた。


「あ、美咲ちゃんおはよう!」


キラキラな笑顔(鼻と口しか見えないけど)で元気な挨拶をしてくる人が。


「あ、おはよー」


……元気だなぁ。

体力にあまり自信のない私は登山なんてしたくないからテンションただ下がりなのに。

その元気さがなんだか恨めしい。

……はぁ行きたくない。行きたくない。


「よし、行こっか!」

「はいはい」


私の気持ちとは裏腹に亮ちゃんはスタスタと歩き出す。

一方で私は重たい1歩を踏み出した。