「そんな無防備でいるとまた襲われちゃうよ?
いつも俺が、そばに居るわけじゃないんだしさ」


なにそれ、なんかズルいよ。

熱い。
全身が熱に侵される。

苦しい。
息ができない。

……甘い。
耳が溶けそう。

耳元から顔が離れていき、亮ちゃんの目が私の顔を見つめる。

……もう、やだ。

今の私の顔みないで。


「……もう、分かったから離して」

口に出して懇願する。


「分かってくれた?」

亮ちゃんは私が本当に分かったのか確認するように言った。


「分かったてば!」

私の主張にやっと納得し、やっと手の拘束が解けた。

キッっと目の前の相手を一瞥し、

「もう、亮ちゃんのばか!寝る!」

と言い、私はスタスタと寝室へと向かった。


熱い、熱い、熱い。

離れてもいつまでも熱が収まらない。

私をこんなふうにしてしまう亮ちゃんなんて、

「……きらい」

ぼそっと呟いた。


そして、そんなことをぐるぐると考えている私には、

「まぁ、どこにいても、どんな状況でも守ってみせるけどね」

という亮ちゃんの声は届かなかった。