「分かってくれた?
もっと、自分を大切にしてよ。
美咲ちゃんは女の子なんだからさ」

自分を大切にしてよって、わざわざこんなことしなくても言ってくれれば分かるのに。

でも、こう言われても、されても、私は変わらない。

亮ちゃんとの思い出のお陰で、今の私があるんだもん。

まだ私が納得してないのが顔に出ているのだろう。

掴まれた腕が未だに離されない。

あの……早く離して欲しいのだけれど……。

亮ちゃんの顔が私の耳元に近づいてくる。

その距離、約10cm。

……あんまり近づかないで。

逃げようと思っても、掴まれたままの腕と、亮ちゃんの片腕が私のすぐ横の壁に付いていて、逃げられない。

さっきまで、怖くて、悔しかったのに……。