僕の声


放課後、空が迎えに来た

『おまたせ』

『ねー早く涼汰んち行こう...』

『うん』

やたらと俺を欲しがるこの顔も
俺にしか見せない照れた姿も
また俺をおかしくさせる

『相談って歩きながらでも出来るだろ?』

俺はSだ。こうして意地悪する

『涼汰意地悪だね』

その言葉が好きだ

『もうすぐ着くね』

顔を真っ赤にさせて
続けて言った

『何で俺の家来るだけで
そんな顔赤いんだよ』

『久しぶりだから緊張しちゃって』

『そっか..』

嬉しいはずなのに、嬉しくない
一緒に居たいはずなのに
帰そうとしてる俺はなんだ

そっか

きっとこういう形で
空と居たくないんだ

でも、どんな関係でもいい
空の傍に居られるなら

『着いたー!』

『空、カフェオレでいい?』

『うん!』

部屋に残して空の飲み物を取りに行く

戻ると空はベットで横たわっていた
反則だろ、それは

『空?』

『んー..?』

『この短時間に寝てたの?』

『みたい..』

そんな姿も可愛い

『カフェオレは..?』

『あるよ、どうぞ』

『涼汰のカフェオレ久しぶりだー』

『いっぱい飲めよ
で、相談って言うのは?』

『あーそれはね...』

困った顔をする空
きっとないのだろう

『嘘だった?』

俺は直球で聞く

『うん...相談なんかないんだ
でも、相談になるのかもしれない』

『言ってみ?』

『あたしね、彼氏とエッチしても
全然感じないんだよ』

『へ?』

え?どういう事だ?
そんな事有り得るのか?

『なんかね、下..とか舐められたり
そーいうのするでしょ?』

『うん』

『それをね、されても
触られても入れられてもね
気持ちよくないの』

『不感症じゃないの?』

『不感症...?』

『うん』

不感症の人は初めて見たけど
きっとそうだと思った

『それって感じないってこと?』

空が泣きそうな顔で言ってくる

『まあ、そーいうことだな』

『でもね、涼汰とだったら
すごく気持ちいいんだよ?』

俺は顔が真っ赤になった

『え、いや俺だけに
不感症じゃないんじゃないの?』

『じゃあ...彼氏は作っても
エッチは涼汰とすればいいのかな?』

『まあ、一応セフレだしな...』

『じゃあそうするね!』

あっさりことは運んでしまった

『涼汰...虐めてくれる...?』

『おいで』

ほぼSMプレイのようなものを
空は興奮して感じてる
俺が教えたから他の人に対して
感じなくなったのかもしれない

でも、これからも会える理由ができた

それから空は彼氏を取っかえひっかえ
するようになった
気付けば彼氏が変わっていた

空は一般的に見ても可愛い方で
背も小さく顔も小さい

モテるに決まっている

それでも、エッチする時は
俺の元に飛んでくる

ヤってる最中も

『涼汰...もっと...
涼汰大好き...』

と言ってくる

空、それがどれだけ残酷で
悲しいか分からないよな

嘘だって分かってても
喜んでる俺はバカだ