数日後、私とリヒトは約束通り水族館に来ていた。
勿論、ただ見るだけじゃなくてショーや触れ合い、ライトアップも充実しているところに。


「…すごい人だね。僕なりに過去のデータから統計して人数を予測したつもりだったけど、それよりも多い。」


やっぱり、夏休みということもあってか、辺りはかなりの人でごった返していた。


「この列に並べはいいの?」

前が見えない程に長い列を見てリヒトが尋ねてくる。
普通なら、この人ずつを見ると嫌な顔をするんだけど、リヒトは顔色ひとつ変えない。


「このペースで進むなら、先頭までは47分23秒…」


先頭までの時間を計算したくらいだ。

…こんなかんじで後50分も持つのかな…
無言の時間が続きそう。いっそ、趣味の話でも聞いてみようかな。いや、それとも、学校生活について少し教えておいたほうがいいのかな。

…思えば、こういう普通の会話をリヒトとした事か無かったかもしれない。
家では互いの質問に答えたり、お父さんを交えて会話したくら。
二人だけでまともに話したことは、ない…