Fisの音が君に伝わるまでの時間





「はぁ~、気持ちよかったね!」





3人で顔を見合せて笑った。





正直、ここまで気持ちいいとは思ってなかった。






「にしても黒川上手すぎ!!」

「そうか?上には上が居るんだけどな」




「どんな練習したらそんなに上手くなれるの~」と少し悔しそうな表情のゆめ。





もう練習法とかじゃなくて、才能なんじゃないの?





というか、黒川のくせに上手いのが余計に悔しい。







「でもそんなお前達も俺と変わんねぇと思うけど…」

「「全然違う!」」

「……そうっすか」





黒川が使ってる楽器もあたし達が使ってるのと大して変わらないし、マウスピースは…ゆめと全く同じものを使ってる。







しかも、ゆめはなかなか有名な中学の出身だったから上手いわけで…。







「なんか…あたしだけペーペーじゃん」

「えぇ!そんなことないよ~」

「お前ハイトーンの音量半端ねぇわ」

「藤崎先輩には負けるよ…」







今年のコンクールの自由曲はトランペットのソロがあるらしく、それを藤崎先輩に吹いてもらった。



初めの3小節まではローベーからで、後半はハイべー、ハイツェー、ハイエスまで出るというトランペット殺しのソロだった。







それを難なく気持ちよさそうに吹く先輩は、プロ顔負けの腕前で感動した。







「あたし恭子先輩に憧れてるんだ~」




「いつかあんな綺麗な音出せるようになりたいなぁ」とあたしと同じように先輩のソロを思い出しているような感じだった。