Fisの音が君に伝わるまでの時間





藤崎先輩side






「え~、じゃあ今年もオーディションは学年関係なくってこと?」

「今年1年生上手いからあたし落ちそうなんだけど」






ただいま3年生は学年会議中です。






今年、1年生が28人入ってきたからオーディションでレギュラーを争わなければならなくなってしまった。










うーん、決まらない。





「何やってんの?」

「んあ?なんだ、敦士か」



これ(敦士)は急に話し掛けてくるから少しびっくりするんだけど。





「オーディションの範囲」

「あぁ~」



「決めづらいよね~」と御世辞にもそう見えない表情。





「もうトロンボーンは決めてんの?」

「ううん。去年は色々失敗して今の2年生に申し訳ないことしちゃったから、今年はパート皆で決めようと思って」




そうか…別にあたし1人が決めなきゃならないわけじゃないのか。





「ありがと敦士!」

「うん??」





あたしも皆で決めようと思い、練習室へ戻ろうとした時ふいにトランペットの音が聞こえた。





それは明らかに1本の音ではなく、2、3人の音だった。




更に…アーティキュレーション、ブレス、音程、ピッチ、全てに置いてぴったりと合っていた。




2年生は今、進路相談で部活にはまだ来ていないはず…。




だとしたら、この音は1年3人組しか居ない。






「なかなか上手いじゃん、1年達」

「恭子も負けないようにね~」

「気を引き締めて練習頑張ってくるわ」






あたしは敦士の肩に軽く手でポンとしてから1年生達が待っている練習室へ向かった。






藤崎side end