「55人まで絞らなきゃいけないからね。去年もあったのよ、オーディション」

「何人居たんですか?」

「82人」

「多いですね…」

「しかも落ちたのは1年生は2人だけ」





…2人だけ、ですか。



去年の1年生だから、今は2年生の人達ってことだよね。




上手い人多いんだ…。






「といってもその2人はもうとっくの前に止めてるしね」

「え?そうなんですか?」

「うん。その子達は敦士のファンだったみたいでね。部活に来ても敦士のことばっかり見て練習しなかったから」




ということは当時の1年生は全員受かったのも同然…。




すごい…。






「うぅ…不安になってきたよ~」



とても泣きそうな顔で隣に座っていたあたしの手をギュッと握ってきた。




「ゆめ?」

「あたしね…中学の時もオーディションがあって、1年と2年の時落ちてて…」

「だーいじょうぶよ!ちゃんと練習してたら落ちないって!」




「だから、ほら!元気出しなさいよ!」とゆめの肩を掴んで前後に……。




「せんぱっ……?!あのっ…!」

「大丈夫よ、絶対受かるから」

「いやっ…そうじゃっな、くてっ…!!」




助けてと訴える目で見てきたゆめを放っとく訳にもいかなかったので、藤崎先輩を止めた。