………しかし、
カイの打った打球は、ホームランになりそうに伸びたが、フェンス直前でセンターにキャッチされてしまった。
終わってしまった…。
「ゲームセット!」
審判の声が響き、試合は終わった。
カイはファーストベースを踏む前で立ち止まり、立ち尽くしていた。
そこに、幹野と一平が駆け寄り肩を叩く。
「カイ、よくやったよ…並ぼうぜ?」
「……あぁ、幹野っ」
「あぁ」
「悪いな、おまえのホームラン無駄にしちまったな…」
「大丈夫だ、とにかく足治せ…」
「…そうだな」
そして試合が終わって、緊張が解けたのかカイは少し足を引きづりながら整列に向かった。
「1―2で、杉崎高校の勝ち!礼っ」
「ありがとうございました!!」
ウウゥゥ―――……
試合終了のサイレンがグラウンドに響く。
私は何の感情か分からないけど、心が締め付けられた気がしていた。

