朝ごはんをいーっぱい食べて

いざ受験校へ

一緒に来てくれるのは、お兄ちゃん


「真希、落ち着いてやるのよ」
「頑張るんだぞ。
隼人も、真希のこと頼んだ」

「うぅ・・・がんばるよ・・・」


電車に揺られて移動している
あぁぁ・・・どうしよう
おちたらどうしよう
面接ちゃんと出来るかな
まず、テストは簡単かな・・・

そんな事考えてるうちに
もう最寄り駅に着いてしまった

受験校はすぐそこ

「じゃあな、真希」

そう言って笑うお兄ちゃん

どうしよう
失敗しちゃうかもしれない
落ちたらお兄ちゃんと
一緒の高校に行けない

そう思ったら 涙が出てきた

「どうしよう、お兄ちゃん、こわいよ」


突然目の前が何かに包まれる

寒いはずだったのに暖かくなる


「真希、落ち着いて」


いつもより声が、近い

お兄ちゃんの両手が
私の背中に回っている


「毎日お兄ちゃんと頑張った
真希なら、できるから」


気づけば涙は止まっていた

お兄ちゃんに背中を押される

「ほら、がんばってこい」


「頑張ってくるね」

自然と口から出たこの言葉は
きっと私は言っていなくって
もうひとりの私が言ったもので

時計を確認しても
全然時間が進んでいなくて


この2分間の中で起きたことを
まだ整理できなくて

私の中では永遠だった



死にそうだ

あぁ、なんてお兄ちゃんはずるいんだろう


頑張れないはずがないじゃない



お兄ちゃんは今日もずるい。