「へい、よってってよー!!」



「今なら安くしとくよー!!」





ガヤガヤと賑わうここは、普通の村の普通の市場。



その、入り口部分に立つあたし。


出口までは……………、そーだな。
50メートルってところかな。





「フフッ」





これからすることを想像すると、思わず笑みがこぼれる。



背中に背負ったカゴを再び背負い直したら、全速力でダッシュ。



この村は、あたしの故郷。


でもそれは……………………、





「りんごに洋梨。それからパイナポー!」



「っちっくしょう!何しやがる!!」



「うわっっ!こっちもやられてる!!!」



「フフフッ。たいりょー、たいりょー」






今日まで…………、だけどねっ。


いろいろな所から頂戴しても、捕まらないあたしってすごいなー。


と、自分で自分に感心しながらも足は休まず動き続ける。