「……ということで、第3中の前に8時半。早くても遅くても学校側に迷惑をかけることになるから、そこ注意。ちなみに、第3中の最寄りは千田駅ね」
結愛の声が透き通って空気を振動していく。
綺麗な声だな、って思う。
澄んだ、透き通った、純粋な声。
彼女は、選ばれた人の声をしてる。
そうやって一部分が綺麗な人って
他のところもちゃんと綺麗だと思う。
細かいところにほど、その人らしさは反映される。
そんな細かいところに抜かりない、
それが結愛のやりかた。
そして、私はその結愛の
身になりたいくらいに憧れてる。
認めたくないけど、
そうなんだ。
解散してなんとなく、皆グループになって
帰りだした。
私も、自然と風華と郁(かおる)と
まとまって帰る。
私は風華が好きじゃないくせに
風華と帰るし、側にいる。
なんでだろう?
自分自身のことすらそんなに分かってない、
そんな私に、結愛の痛みや苦しみは
分からなかった、気づけなかった。