サーブをこちら側からいれて
返ってきたボールを繋ぐ、フォーメーション。
あちら側では正式にコーチに
ローテーションを教えてもらえたりする。
だけど、こっちは教えてはもらえない。
聞き耳たてて、頑張って聞く。
そして、あちらにいる人たちの真似や観察をして
それを悟り、盗むしかない。
そんな不平等の中で、
いきなり試合に入れられる私たちベンチも
かなり悲しい存在だと思う。
なんて思ってたらレフトからの
鋭角スパイクが飛んできた。
体を地面に引き付けて手のひらを重ね合わせる。
膝の屈伸を、意識してセッターに返す。
今は、良くできた方。
柔らかい角度と速さでボールが
セッターの手に吸い込まれていく。
「レフト」
その3文字を合図に私はタイミングを合わせて
ステップ開始。
風華がスパイクの用意ができてなかったー
正確に言うと、開けてなかったため、
無理な姿勢からの、オーバートス。
私自身も体をねじって、
目の前を見据えた。
私の前にいるブロッカーは、二人。
センターは結愛。
彼女の手に当てることは危険だからー。
姿勢を横回転の動作で変えて
思いっきりライト側のブロッカーに当てた。
上手くいけば、彼女の手に当たって
コートの外に落ちてくれる。
そうすれば、彼女がタッチしたということで
こっちの勝ちになるから。
思いっきり叩きつけて、
ブロックの壁は越えられた。
拾われたボールがチャンスで返ってくる。
少し、体のひねりが足りなかったみたいだ。
次は、風華がスパイクを打った。
拾われて今度は結愛のスパイクが返ってくる。
またカットは拾えずに
驚嘆の声をあげる。
……ああ、早く練習が終わらないかな。
時たま思う、この面白味にかけた思いを
手持ちぶさたにしながら、時計を見上げる。
時計は5時半を指して
季節は、冬に差し掛かっていて
体育館の中まで冷え込んできていた。

