人一倍?
努力?
報われる?






そんなものは聞きあきた。
このバレー部にいる、あの子しか
私と同じ雰囲気をまとっていなかった。







  
あの子だけは、ボールを見てる。
本当の意味でスパイクを打ってる。






まだまだな所もあるけれど、
あの目に捕らえられたボールは
会場を魅せる。






    
彼女が試合に出れなかったのは
彼女が不器用だったからだ。






友達関係もまっすぐに悩んで
バレーにたいしても、ものすごく真っ直ぐで。








彼女は知らない。
別にコートの中に入ろうとも
何も変わらないことを。



     


あのこはまだ夢を見てる。
コートに入ればバレー部の仲間とも
クラスメイトとも、私とも。
やり直せると思ってる。







  
その希望とそこへ翔るところが、
私と彼女の違いだ。
コートでも、結局は一人だと知っているかどうか。









それさえ知れば彼女は成長する。
私を抜くことなんて雑作もない。









私と背中合わせだった唯一の
理解者は、変われる。
こちら側に、来れる。
生温いこのチームにいるべきじゃない。








だから、待ってる。
向こうであなたのこと、待ってる。









待ってて。 
あなたは、私の前で強気な態度で言った。
そのまま横を駆けていく彼女は、
人一倍、努力するに違いない。




      



私はそれを、待ってる。