「えーとだな、実はな」
着替えを済ませ、集合した校門の前で
監督が言葉を濁しながら話を切り出そうとしてる。
なかなか、切り出せないようだ。
30代後半にもなってめでたく結婚とかだろうか。
なら、照れなくていいから
速く言って帰してほしい。
「監督」
やはり、ふわっとした声がその場を制した。
「私から、言いますよ」
ということは、結婚ではないようだ。
「でも、結愛……」
「私の、問題ですから」
結愛は、私たちの顔を全部見回して
最後に私を見た。
胸がドキンと跳ね上がる。
何を、言われるんだろう。
「私、学校を退学します」
全員、理解に時間がかかった。
誰もが、どう解釈するべきか、
それぞれに思い悩んでいた。
家庭の事情が有力で何人かがそれを思い浮かべた。
私には、分かった。
あの真剣な表情の指した意味が、分かってしまったのだ。
退学が、指す意味が。
私の最悪な予感は命中したのだ。
彼女は、このバレー部を捨てる。
自分の力で私たちを踏み台に
最高峰の中に身を投じる気だ。
でも、私はそれを何とも思わなかった。

