｢交代！｣
５分を差していたタイマーが
刻々と時間を刻んで０を示していた。
エースであり、しかもキャプテンの
結愛が張り上げた声にみんなの返事が続く。
｢はい！｣
ネットをくぐって、今打っていたメンバーが
こちら側に向かってくる。
私は、反対にネットをくぐって、
表舞台ースパイクを打つ方のコートに入った。
私は、センター。
結愛も、センター。
センターの志望者は4人。
コートに入れてるのは、結愛ともう一人、希子。
セッターのリズムを目で追う。
ボールがセッターの手から放れたその瞬間に
私は、スタートした。
一歩目は深く踏み込んで体を前のめりにする。
続いて自然に出た足を1、2とステップ。
今まで引き連れていた、勢いを体に憑依。
この感覚が、一番好き。
勢いに実際、体はついていかない。
けど、最後手を振り上げて体を持ち上げると
その勢いは、自分の分身になる。
良いところで待ってくれてるボールに手を翳して、
相手コートを見下ろす。
そのほんの何秒かで、私は狙いを定めて
ボールの右半分を思いっきりミートした。
私の思い通りに、そのボールはクロスして
ライト側へ飛んでいく。
下りた瞬間、
自分のつけた勢いが達成感として遅れて到達。
