彼女たちはそのあと
迷ったらしく、同じ電車にいなかった。
安堵してしまう自分が嫌だと思う。
きっと、ひがんでるのは私だけだ。
私の方だけ。
あっちは、きっと何とも思ってない。
集合場所がだんだん見えてきて
何人かちらほらと同じシャカシャカが見えた。
誰かはすぐに分かった。
セッターの凛だ。
名前の通り凛々しくて
えらがはった、化粧映えしそうな顔立ちをしてる。
「おー! 夏希、いっつも早いね!」
「凛こそ」
凛は誰彼問わず、
仲良く話しかけられる女の子だ。
凛がいたことに心の中でほっとする。
集合してからの学校までの道のりが
意外と誰と行くかで私は真剣に悩む。
運が悪ければ、1人っぽくなるし、
3人で歩いていても会話についていけなかったりする。
そういう点で、凛は安心できる相手だった。
さすがに踏み込んで話せないけれど、
他愛ない話を続けられる相手。
彼女の側にいれば、今日の行きは乗り越えられる。
集合時間が近づいてだんだんとシャカシャカの量が
増えていく。
明るくて黄色い声が幾つもの固まりから発せられて
笑顔が弾けている。
全員揃ったようだった。
「じゃあ、行こっか?」
結愛の下がった目尻が朝から輝かしい。
凛は結愛と打ち合わせたいことがあったらしく
先にあるいていってしまった。
凛は、バレーバカだ。
そこに関しては、空気を読むとかそんなの関係なく
突き進んでいく。
だからこそ、私が彼女といる時に
最後まで大丈夫という保証がない。
どうしよう。
早くも焦りだした気持ちを押さえるように
後ろから声をかけられた。
「おはよう、夏希」
振り向くと私より身長が2回り低い郁が立っていた。

