そのコートの向こうで、君が待ってる。




今日は試合。
昨日使ったせいか、動きたがらない体を
無理矢理起こして、ご飯を体に流し込む。






いつもは食べることが大好きなのに
今日だけは、体にスイッチを入れるためだけに食べた。




 



お母さんが作ってくれたお弁当を
もう既にパンパンのエナメルバッグの中の
一番上に入れる。   


    


時計はもうでる時間を指していた。






気合いを入れるつもりで、
スニーカーに足を突っ込んで床で整える。









何の気合いかって、一日中
応援する面倒な仕事をやる自分のため。





「行ってくる」





いつから、行ってきますと
素直に言えなくなっただろう。






外に出た瞬間に、風が髪を乱暴に巻き上げていった。
少し早いかなと思ったけど、
マフラーはしてきて正解だったみたいだ。








電車に揺られている内に、
無性に家に帰りたくなった。
今家を出たばっかりなのに。







自分が出ない試合で、
応援のために休日を使うなんて
少し考えてみればバカな話だし。







まぁ、しょうがないけど。
溜め息をはいたら、気がもっと重くなった。